ウェーイ族の初夏とヤマメフライ定食

ウェーイ族の叫びは、よく聞くと、「はい」とか「うおぃ」といったもので、うぇーいといっているわけではない。

彼らの生息地に正対して耳をすまればよくわかるのであるが、彼らを横目にこそこそとキモヲタのように移動するから、ドップラー効果などの影響で「うぇーーい」と聞こえるのであろう。

新緑の季節。ウェーイ族が水清い土地に進出し、川原からは彼らの勇ましい声が絶える事がない。

標高をあげると、マウンテンウェーイ族が出没する。

薄着で自転車にまたがり、決して減速することなく山道を気の狂ったようなスピードで突撃する彼らは、その蛮勇といい傍若無人っぷりといいウェーイ族といってもいいだろう。

マウンテンウェーイ族と命名しよう。 

突入してくるマウンテンウェーイの猛攻をかわして、ヤマメの川についた。

陽がじりじり照りつける中、オモリも目印もとった仕掛けに羽虫をつけて、一筋の流れに落とす。

三本で撚った糸を竿から1mほどたらし、その下は細い糸。こうすると、オモリなしでも糸の勢いで羽虫を飛ばすことができる。

あまり力を入れずに、竿をゆっくり振るのがコツ。糸が水面沿いをさーっと飛んでいき、見た目はオサレなフライフィッシングなんだが、自分は腰に竹魚籠と小刀ぶら下げた、とった魚は食っちゃうスラムフィッシャーマンなんだなあ。

さっと茶色い影が走った。コイ科の魚の動きじゃあない。

何回も失敗すると、仕掛けを見切られてしまうので、少し立つ位置を変えて、糸が流されて羽虫が不自然に流れないようにする。

釣ろうとする気配は出さない。

さっと竿を振って、羽虫が流れに静かに着水した。横から茶色い影が走り、横になりながら羽虫をくわえた。

喰いが浅い。少し待って、竿に手ごたえを感じた瞬間にあわせた。

ぐっと竿がしなって、水中で銀色の閃き。

きれいなヤマメ。ハリはしっかり上あごにかかっていた。

沢の釣りもいいのだけれど、陽のさすなかこういうヤマメ釣りも楽しい。

最近は夏の暑さが尋常ではないから、春と夏の間のひとときの釣りかもしれない。

ヤマメ釣りを堪能して、西部マス釣り場食堂へ。

自力でヤマメを釣ったときのみ注文できるヤマメフライ定食にありつける。

オヤジは少し寂しそうな顔をしていたものの、ヤマメを見ると笑顔に。

「あ、、、、、、 これは、、、天然ものですね。。。」

オヤジがうれしそうな顔をすると、自分もうれしい。

そのまま厨房にいかずに、どこで釣ったのかとオヤジが聞くので、どこどこで釣ったのだというと、もつ炒めをあてに酒を飲んできたアッパー系原種オヤジが会話に参加。

ぜんぜんイワナがいないという。

解禁の前に放流したイワナのことなんだけれども、一週間くらいでみんな釣られてしまってもういないという。

別にヤマメと関係はないんだけれど、みんな魚が好きなのだ。

アッパー系オヤジに、自分も西部オヤジも、イワナは岩の陰にかくれていて、ニジマスみたいに全部釣られたりしないよ、って反論したものだから、アッパー系オヤジは激昂して、俺の世界にはイワナはいねぇ! とぶち上げた。

一つの川をみていても、人によってまったく違うものを見ているのだ。

そうはいっても、アッパー系オヤジは、「俺の世界」をごりごり押してくるからかなわないが、ウェーイの煩さにくらべたらなんということはない。

ヤマメは塩焼きがうまいとされているが、フライもいける。

ほんの少しレモン汁をかけて食べると、ヤマメの香ばしさがぐっと広がって、実にうまい。

フライの聖地、浦和競馬では見かけることのできないさいたまの名物、ヤマメフライ。